入札参加資格登録
建設業の許可を取得して建設工事の仕事を受注する場合、民間の施主あるいは建設業の事業者から発注を受ける場合以外に、国や独立行政法人、地方自治体などから直接受注するケースがあります。
このような公共機関から元請として受注するにあたっては、原則として公共工事の入札手続きに参加し、発注案件を落札しなければなりません。
入札の方式
入札の方式には、「一般競争入札」と「指名競争入札」の制度があります。
「一般競争入札」は、発注者が発注内容を公告して、入札に参加を希望する者を募って競争入札を行う方式です。これに対し「指名競争入札」は、入札に参加を希望する者の規模や能力、過去の施工実績などを基準に、あらかじめ入札希望者に順位付けや格付けを行って登録し、発注案件に見合った施工能力を有する事業者を数社選定(指名)し、入札への参加希望を確認し、参加を希望した事業者間で競争入札を行う方式です。
指名願い
官公庁等の公共機関が発注者となる建設工事の多くは、指名競争入札の方式が多く採用されています。指名競争入札に参加できるようにするためには、あらかじめ発注者の名簿に登録されていなければなりません。この発注者の名簿に登録してもらう手続きを「入札参加資格登録」といいます。入札参加資格登録を済ませないと、指名競争入札の前提となる「事業者の選定(指名)」がかからないですので、入札参加資格登録の手続きは「指名願い」とも呼ばれています。
公共工事の発注機関
公共工事の発注機関は、国や国立大学などの独立行政法人をはじめ、都道府県や市区町村などの地方自治体も含まれます。
国の機関
☑ 中央省庁それぞれの発注機関(法務省、文部科学省、財務省など)
☑ 国土交通省の出先機関(①各地方運輸局、②各地方整備局、③気象庁、④海上保安庁、⑤北海道開発局など、省内で受付機関が分かれている)
☑ 特殊法人(NEXCO東日本、高速道路の管理会社、日本下水道事業団など)
など。
地方自治体の機関
☑ 交通局、水道局などの出先機関
☑ 警視庁、消防庁などの出先機関
など。
入札参加資格登録の申請方法
原則として、自らが建設工事の発注を受けたい(指名競争入札の指名を受けたい)公共機関に対して、個別に入札参加資格登録の申請を行うこと必要があります。
そのため、発注者側から指定された様式を入手し、申請書を作成するとともに、申請に必要な公的機関から発行される納税証明書などの証明書類を添付して、発注機関の入札参加資格登録の受付窓口に書類を提出して申請を行います。
ただ、最近では電子申請(インターネット経由での申請)の方式を取っている発注者も多くなってきています。
電子申請(インターネット経由での申請)
従来の紙ベースの申請に代わって、電子申請の形式による申請受付を行う窓口が増えてきています。
電子申請の場合は、セキュリティを確保するために、①IDパスワードを事前に発行するタイプや、②申請者または手続代理人の電子証明書を利用して電子著名を行うタイプがあります。
また、完全にオンライン上のデータ送信だけで完結するタイプと、データをオンラインで送信した後に一部の書面を郵送で送付して完結するタイプがあります。
どのような方式を採用しているかについては、申請先によってまちまちですので、あらかじめ申請先の窓口やインターネット上の申請実務の取扱要項を十分に確認しておく必要があります。
登録の時期と登録の有効期限
発注機関の多くは、入札参加資格登録を受け付けている期間を定期的に設けている方式(定期受付)を採っています。有効期間は2年で定めているのが一般的です。
また、定期受付の他に、登録の有効期間中に随時受付を行う場合もあります。ただし、定期受付を受けた事業者に対して付与される登録の有効期間の全期間が随時受付期間になるわけではなく、次の定期受付の期間の直前で随時受付を終了するケースや、定期受付の有効期間内の一部の期間に限定して随時受付を行うケースなどもあり、発注機関によってその定め方は異なりますので、随時受付を申し込む場合は事前に申請時期がいつなのかを必ず確認する必要があります。