建築士事務所登録
一級建築士、二級建築士、木造建築士等又はこられの者を使用する者は、他人の求めに応じ報酬を得て、次の業務を業として行う場合は、一級建築士事務所、二級建築士事務所、木造建築士事務所を定めて、登録を受ける必要があります。
- 建築物の設計:その者の責任において設計図書を作成すること
- 建築物の工事監理:その者の責任において、工事を設計図書と照合し、それが設計図書のとおりに実施されているかいないかを確認すること
- 建築工事契約に関する事務:工事請負契約の内容を十分に調査・検討する必要があり、それにかかる業務
- 建築工事の指導監督:工事監理、建設業法上の施工管理又はいわゆる現場監督でなく、建築工事について工事施工者に即した立場ではなく、建築主の依頼により第三者的立場から指導監督すること
- 建築物に関する調査又は鑑定:建築物の構造、高さ、面積等の測定等通常建築士としての知識技能を必要とするような全ての調査又は鑑定をいう(建築基準法第12条の定期報告の調査・検査等がこれにあたる)。但し、土地家屋調査士法等の他の法律において特別の資格の登録等が定められている場合を除く。
- 建築に関する法令又は条例に基づく手続きの代理:建築基準法第6条第1項の確認申請(建築物の建築等に関する申請及び確認)等の代理
※「他人の求めに応じ」とは、不特定又は特定多数人の依頼に応ずることをいい、「報酬を得て」とは謝礼その他名称の如何を問わず、設計等の業務に対する対価を収受すうことをいいます。また、「業」とは、反復継続して又はその意思をもって設計等の業務を行うことで、営利を目的とすうか否かは問いません。
※ 建設業者が請負の一環として建築物の設計・工事監理等の業務を行う場合も建設業の許可のほかに建築士事務所の登録が必要です。
※ 支店や営業所等を設け本店とは独立して設計等の業務を行う場合は、それぞれ建築士事務所の登録を受けなければなりません。
建築士事務所の登録要件
建築士事務所登録の要件には、主に以下のようなものがあります。
- 事務所となる場所が確保されていること
- 専任の管理建築士で常勤していること
- 一定の欠格要件に該当していないこと
- 法人の場合は定款・登記の目的欄に「建築物の設計・工事監理」などが含まれること
要件Ⅰ 事務所があること
建築士事務所を開設する場合、管理建築士が常勤する「事務所」が必要となります。
事務所を賃貸で借りている場合は、確認資料として賃貸借契約書(原本)の提示を求められ、その契約内容が「事務所使用OK」となっているか確認されます。
要件Ⅱ 専任の管理建築士が常勤していること
建築事務所の開設者は、その建築士事務所の業務に係る技術的事項を総括する専任の建築士(管理建築士)を置かなければなりません。
管理建築士は、責任の所在を明確にするという意味から、一事務所について1人に限られます。1人の建築士が複数の建築士事務所の管理建築士を兼ねることは、いかなる場合も認められません。
管理建築士が宅地建物取引主任者や建設業法における専任技術者など、他の法令上の業務を併せて行っている場合は、実質的に建築士法第24条第3項に規定された管理が十分に行われるかどうかによって判断されます。
管理建築士は、建築士として3年以上の設計等の業務に従事した後、国土交通大臣の登録を受けた者(登録講習機関)が行う講習(管理建築士講習)の課程を修了した建築士でなければなりません。したがって、建築士としての免許登録後3年以上の業務経験がないと管理建築士講習の受講資格もありませんので注意が必要です。
要件Ⅲ 欠格要件に該当しないこと
建築士事務所の登録申請者が以下の欠格要件に該当しないことが必要です。
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
- 成年被後見人又は被保佐人
- 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
- 建築士法の規定に違反して、又は建築物の建築に関し罪を犯して罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
- 一級建築士、二級建築士、木造建築士の免許を取り消され、その取消しの日から起算して5年を経過しない者
- 建築士事務所についての登録を取り消され、その取消しの日から起算して5年を経過しない者
- 建築士事務所の閉鎖の命令を受け、その閉鎖の期間が経過しない者
- 暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
- 暴力団員等がその事業活動を支配する者
- 建築士事務所について管理建築士を置くことができない者
- 禁錮以上の刑に処せられた者
- 建築士法の規定に違反して、又は建築物の建築に関し罪を犯して罰金の刑に処せられた者
登録申請をする際には、上記の欠格要件のいずれにも該当しないという誓約書を提出します。
要件Ⅳ 定款・登記の目的欄に「建築物の設計・工事監理」などが含まれること
建築士事務所の登録申請者が法人の場合には、定款の目的欄に「建築物の設計・工事監理」などの文言が含まれている必要があり、それが登記されていることが必要です。
建築士事務所を開設する際に法人を新たに設立する場合には、定款作成の際に注意が必要でうし、すでに法人である登録申請者は定款も目的欄に「建築物の設計・工事監理」のような文言が入っているか確認してください。そのような文言が入っていない場合には、登録申請をする前提として、定款変更と変更登記の手続きが必要となります。
建築士事務所の登録事項の「変更」
登録事項の変更(所属建築士の変更以外)
建築士事務所の開設者は、次の事項について変更があった場合は、2週間以内に変更届を提出しなければなりません。
- 建築事務所の名称、所在地、電話番号
- 開設者が個人の場合:その姓・名(個人の開設者の変更はできません)
- 開設者が法人の場合:その名称、所在地、役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者)の氏名
- 管理建築士の氏名、一級建築士・二級建築士・木造建築士の別、登録番号
所属建築士の変更
建築士事務所の開設者は、建築士事務所に所属する建築士に変更があった場合は、3ヶ月以内に変更届を提出しなければなりません。
- 入社・異動・退社など
- 資格の変更が生じた場合(二級建築士 ⇒ 一級建築士へ など)
- 建築士免許証の姓や名を変更した場合
- 設計・工事監理等の業務を行わなくなった場合
建築士事務所の登録の「更新」
建築士事務所としての登録の有効期間は5年間です。
引き続き建築士事務所として業務を行う場合は、有効期間の満了日の30日前までに更新申請のしなければなりません。